嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

ネイティブ・アメリカンー先住民社会の現実(2009)

メモ 外見やファッションだけでなく、先住民の歴史や文化への理解度や、自分のリベラル度を誇示するために、ワナビーになる白人は多い。 (略)先住民のように振る舞う白人が出現した理由のひとつに、過去の侵略や虐殺行為にたいする罪悪感を挙げる。先住民…

なぜ夜に爪を切ってはいけないのか 日本の迷信に隠された知恵(2007)

夜に爪を切ると親の死に目に会えない、鼻緒が切れると不吉、節分に自分の年齢の数だけ豆を食べる訳など昔から伝わる迷信を集め、謂れや科学的根拠などを記した本。 大晦日に早く寝ると白髪が増える、女が風を引いたら首に男のふんどしを巻け、全部たいらげて…

日本の神々と仏 信仰の起源と系譜をたどる宗教民俗学(2002)

八幡様 民俗学の柳田国男は、八幡神は鍛冶の技術をもつ氏族集団の氏神だったのではないか、と仮説を立てている。 古代において鍛冶の技術は特別なもので、それをもつ氏族集団は日本全国を移動していた。かれらは移り住んだ先々で一族の氏神を祭ったと考えら…

平安男子の元気な!生活(2021)

「平安女子の楽しい!生活」の続編。 平安時代の貴族の男性は女性と同じく恋に恋をし、和歌を詠み、涙し、恨み、化けて出て…とのんびりしている印象(?)だったが、実際は早朝から働き、結婚、出世、権力争いと心身共をフル活動させていた。 興味深かったの…

山崎富栄の日記をめぐって(1948)

青空文庫の作品説明には「週刊朝日『太宰治氏情死行詩集について』の問いに対する、答え」とあり、この作品(?)だけでは内容が理解できないようだ。 グーグルで週刊朝日「太宰治氏〜」を検索したがヒットなし。 山崎富栄の日記をめぐって 初出:1948 著者…

平安女子の楽しい!生活(2014)

平安を生きる女性の生活について書かれた本。10代向けなのでとても読みやすいが、おしゃれに疎い自分はボトムス、インナーなどの若者言葉(?)に戸惑った。…何でもかんでも英語にする必要はないのになあと婆は思う。 貴族の女達は何十にも重ねた重い着物、…

インディアンという生き方 夢にかよう魂(2001)

ネイティブアメリカンの信仰対象は自然である。日本の神道に似ているが彼らの方が純粋で繋がりが強いように感じる。彼らは木々や動物の声を聞き、母なる大地を傷つけるのを嫌い、取った獲物は残さず食べ、毛皮など全て利用する。 彼らの儀式や考え方は神秘的…

雨の玉川心中 太宰治との愛と死のノート(1977)

太宰と心中した山崎富栄の日記。 日記に綴られているのは太宰の乙女ゲームよろしく甘ったるい気障な台詞の嵐。こんなこっ恥ずかしい台詞を言える人間がこの世に存在していようとは。人間失格の葉蔵のような小心からくる過剰なサービス精神ゆえなのだろうか。…

いちばん詳しい オーディン、フェンリルからカレワラまで「北欧神話」がわかる辞典(2014)

「誰も死は避けられない。それは神も同じ」というのが北欧神話、最大の特長だろう。巨人ユミルの死体を使い作られた大地、1日の始まりは夜、人は木で作られたなど、知れば知るほど日本との違いに驚き、貪るように読み勧めた。違いがありながらも親近感が湧く…

雨の玉川心中 遺書(1977)

心中した太宰治と山崎富栄の遺書。 不謹慎だが死の間際までお金を気にしている太宰が滑稽でおかしかった。 太宰の死を坂口安吾は「二日酔い的に死んでしまった」と書いていた。これを読んだ時、いまいち理解できなかったが、遺書があっさり数行、なおかつ思…

インディアンの言葉(1996)

自伝、シャーマンの歌、演説、秘話などネイティブアメリカンが語った言葉を収録した本。 自然と共に生き、迫害された彼らの言葉は深く重く、読み終えた後、神妙な気持ちになる。日本に暮らす自分がこんなことを言う権利はないかもしれないが、彼らの考えにど…

はじめてのギリシア神話(2019)

メモφ(..) ローマにギリシャ神話が入ってきた時、ローマの土着の神は名前が違うだけでギリシャの神々と同じ存在であるとされた。日本も同様のことが行われた。いわゆる「本地垂迹説(ほんじすいじやくせつ)」である。 神が起こした洪水から逃れるため方舟を…

スラムダンク(1900〜)

言わずとしれたバスケット漫画の名作。 話の面白さは言うまでもなく、個人的に対比が面白いなと思う。桜木と流川、彩子さんと晴子さん、メガネくんとゴリなどなど、残酷なほどはっきりした対比は時に心が痛むこともある。 ゴリの実力や努力を誰よりも知って…

世界の民話アフリカ(カビール・古代エジプト・西アフリカ)

訴えや祈りの中身を吟味せず、何でも聞き入れてしまう、素直すぎるエジプトの神々。 自分の思い通りにならないからとへそを曲げ、寝っ転がるエジプトの神。 落ち込んでるのを励ますのがダルいと本人の前で言ってしまう古代エジプト人。 エジプトの民話はエジ…

アフリカの民話〜ティンガティンガ・アートの故郷、タンザニアを中心に〜(2012)

アフリカ在住の著者が現地の人々に聞いた民話を集めた本。 登場する動物の豊富さ、妙に生々しい生死感、当たり前のように現れる呪術師、生活に根付いたイスラム教、アラブ文化など、文化や考え方の違いが楽しい。 以下、気になった民話をいくつか。 ・猿女房…

日本の全ての方々へ(1942)

マハトマ・ガンジーが日本ヘあてた手紙。 戦争、中国侵略を強く批判している。 無慈悲な戦争には最終的な勝者がいない、ということが何故あなた方にはわからないのか不思議でなりません。連合国でなくても、疑いなく他の何らかの勢力があなた方の手法をより…

本屋さんで待ちあわせ(2012)

初出:前ブログ 我らが日本国は効率性を掲げながら、平和主義を拗らせ、令和となった今でも非効率でまだるっこしい働き方をしている。故に国民は総じて時間がない。 趣味はおろか本を読む暇もないのだから、読書家は少子化同様、減少の一途。コロナ、ステイ…

たべたいの(2017)

初出:前ブログ 本書の著者、壇蜜の印象はよく分からない人であった。言動も世の人々を魅了する肉体も何もかも幻を見ているかのように曖昧で現実味がない。その印象が強いせいか、出演していた官能映画も全く色気を感じない。世間と自分の印象の差に戸惑いな…

オッパイ入門(2018)

初出:前ブログ 今作は漫画家であり、エッセイストでもある東海林さだおのエッセイ本である。オール讀物に掲載されたエッセイ15本と中野翠(コラムニスト、映画評論家)との対談が1つ収録されている。 「エッセイに論理はあまりいらないんじゃないか。論理を…

雑食映画ガイド(2013)

初出:前ブログ 一度は耳にしたことのある名作から、ポルノまで、ありとあらゆる映画情報を一冊に凝縮。本書は青年漫画雑誌「漫画アクション」に掲載されていた映画コラムをまとめたものである。 ざっと100本以上(ちゃんと数えてない)の映画をとめどなくあ…

チャップリン自伝 栄光と波瀾の日々(2018)

初出:前ブログ 今作はチャップリンが75歳のときに書き上げた自伝の下巻にあたる。上巻は幼少期からアメリカに渡るまでを描いたドラマティックな内容であった。下巻は一気にスターへ登り詰める様、映画の裏話、ロマンティックな恋や結婚が繰り広げられるのだ…

チャップリン自伝 若き日々(2017)

初出:前ブログ 世界の喜劇王、チャップリンの自伝。上下巻の上にあたり、イギリスで過ごした幼少期から小さな放浪者の誕生、アメリカへ発つまでのエピソードを描く。ハリウッド俳優の自伝はゴーストタイラーの手によるものが多いらしいが、この本はチャップ…

お友だちからお願いします(2012)

初出:前ブログ 「お友だちからお願いします」と、言ったことも言われたこともない。 超ネガティブな言葉から始まる本書は小説家三浦しをんのエッセイである。自由気ままな日記ブログをまとめた「ビロウな話で恐縮です日記」と打って変わり、こちらは様々な…

ビロウな話で恐縮です日記(2009)

初出:前ブログ 本書は同名のブログ記事を取捨選択し、まとめた本である。著者の三浦しをんは2000年「格闘する者に〇」でデビューした小説家。 面白いエッセイが読みたくて検索していたところ、本書を発見した。一番上に表示されていたレビューは「電車の中…

敗者復活(2008)

初出:前ブログ 作品情報 著者:サンドウィッチマン 2008年発行。 定価:1300円(税抜き) 内容 著者はM-1グランプリ初の敗者復活組、優勝者であるサンドウィッチマン。幼少期から優勝までの軌道を2人の視点で描いている。 M-1グランプリとは? 2001年から…

超訳ニーチェの言葉(2010)

初出:前ブログ 作品情報 著者:フリードリヒ・ヴェルヘルム・ニーチェ 編訳:白鳥晴彦 2010年発行 定価1870円(税込) 内容 ドイツの哲学者・ニーチェの書籍の中から、現代人に役立つ言葉を選別し、まとめた本。 感想 収録されているニーチェの言葉は232に…

文豪たちの友情(2018)

初出:前ブログ 作品情報 著者:石井千湖 2018年発売。本体価格:1500円税抜き 本の内容を一言で 今もなお愛される名作を書き残した、文豪達の意外な交友関係やエピソードをまとめた本。 感想 室生犀星や坂口安吾、太宰治など「名前や本の内容は知っているけ…

「哲学する!」練習帳 そのとき、あなたならどうしますか?(2002)

初出:前ブログ 著者・永淵 閑 内容は著者の経験を元に制作された、10個の問題に対し、自分なりの答えを導き出すというもの。 「哲学」と聞くと難しいイメージがあるが、この本は「自分ならどうするだろう?」とハードルが低く設定されているため、問題自体…

メンタル童貞ロックンロール(2019)

初出:前ブログ 作品情報 著者:森田哲矢(さらば青春の光) 2019年発行 著者、内容について ダ・ヴィンチニュースで約3年半連載されていたコラム「煙だけでいい……あとはオレが火を起こす!」を書籍化。著者はお笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢。キ…

大人も知らない世界の仕組み なんで水には色がないの?(2014)

初出:前ブログ 作品情報 著者:五百田達成 文響社 2014年発行 本体価格:1280円(税抜き) 著者プロフィール この章では簡単に著者のプロフィールをご紹介します。 五百田達成(いおた たつなり) 1973年東京生まれ。 東京大学教養学部アメリカ科卒業。心理…