嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

あきらめて極楽 悩んで地獄(2010)

人を救うのは宗教のみ、お浄土、仏を信じろと繰り返し書かれていて、自分の仏教観との違いを強く感じた。 これは価値観、知識の差だから、あーだこーだ書かんけれども、少なくとも私の知る仏教は信仰心を否定しているし、教えは丸呑みするんじゃなくて、自分…

死の壁(2004)

養老先生の「〇〇の壁」シリーズ第二弾。自然体でからっとした考えを持つ養老先生の本は魅力的でつい手に取ってしまう。ユーチューブもしっかりフォローして観てるし、ちょっとしたファンか。 本編は日本人の死に関する事の捉え方について。他にも死の境の曖…

超約版 方丈記(2022)

日本三大随筆の一つ、方丈記(一二一二)。(関係ないけど、一と二が漢字で続くと可愛いな)。 初っ端から世の無常を川に例えた文章が秀逸で前々から読もうと思っていた。ようやく手にして、ノンストップで三回ほど読んでいる。冷静すぎる視線、ぐうの音も出…

ボクには世界がこう見えていた 統合失調症闘病記(2011)

解説(精神科医の岩波明)を読む限り、統合失調症は知的障害のないものと考えられているが、実際は思考障害など、知的能力の衰えがみられるという。思考力や判断力などが衰えてしまい、患者達は複雑な心理現象をまとめて表現する能力を失っている事が多い。…

闇の脳科学 「完全な人間」をつくる(2020)

忘れ去られた天才科学者、ロバート・ヒースは脳を電気で刺激する「脳深部刺激療法」で精神病などの治療を行っていた。しかし、それは倫理や人権に大きく関わるとして、時代、宗教、人権団体、同業者から誤解され、糾弾の対象となっていく。 ヒースが行う治療…

処刑の文化史(2018)

磔、ギロチン、鞭打ち、火あぶり、皮剥ぎ、ガス室、電気椅子…、何でもござれ。異教徒狩り、魔女狩りと何かと理由をつけ、拷問器具、処刑台を使い続けてきた人類。民衆は処刑という刺激たっぷりの娯楽に酔いしれ、遺体は病気の薬になるとバラバラにされた挙げ…

禅的生活(2003)

「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」。対して「禅道と云ふは平然と生きる事と見つけたり」とこの本を読んで思った。平然と…は残念ながら私の思いつきではなく、最近本で知った言葉だ。詩人当たりの人が言っていたような気がするけど、間違っているかもしれ…

老師と少年(2006)

徹底的に削ぎ落とされ、厳選された言葉達は砂漠に雨が降るように深く染み込んでくる。著者は曹洞宗の禅僧、南直哉さん。著者のことはあまり知らないけれども、この前読んだ対談本でかなりしんどい人生を歩んできたのは知っていた。その本の中で「老師と少年…

電車の中を10倍楽しむ心理学(2014)

サングラスをかける人、席に大股で座る人は小心者で自分を大きく見せたい、電車の中で本やスマホを手にするのは他者との関係を持ちたくない現れ、小心者ほどパーソナル・スペースが広い、服はその人のなりたい自分、見られたい姿、髪を触る癖がある人は寂し…

なんで僕に聞くんだろう。(2020)

内容は様々な相談に著者が答えるというもの。不倫、結婚、親子関係など、幅広い悩みを読みながら思うのは「なんで著者に聞くんだろう」。多分、相談者は誰にも悩みを言えなくて、でも聞いてほしくて、それでいて否定もしてほしくない。なんなら耳障りの良い…

同時代禅僧対談〈問い〉の問答(2008)

曹洞宗、南直哉、臨済宗、玄侑宗久の対談。お二人共勉強熱心で知識量、頭の回転も早く、ついていけない話だらけだった。経典関連は全滅。それ以外の仏教のあり方、葬式、言語、異界などは何とかついていけたような、ついていけなかったような。痛烈に感じる…

神社で柏手を打つな! 日本の「しきたり」のウソ・ホント(2019)

御朱印は寺発、恵方巻の歴史は浅い、初詣が定着したのは昭和から、二礼二拍手一礼は神官が祭祀で行っていたのを一般人が真似をした、除夜の鐘を打つようになったのはラジオのスタジオに鐘を持ってきて、つき始めたのが始まり…。 右から左へ何の疑問もなく従…

走れメロス(1988)

オモコロ「本を読んだことがない32歳が初めて「走れメロス」を読む日」に触発され再読。みくのしんさん(本を読んだことがない32歳)は川の濁流の描写、文体などを味わっていたが、私は一度たりとも描写や文体に感動した覚えがない。 原因は文を脳内で映像化…

笑いの哲学(2020)

ポリコレとは「政治的公正を意味する。劣位に置かれていると思われる人々が自分は優位にあると思い込んでいる者から被ってきた差別、偏見を是正し、政治的また社会的に公正で中立な姿勢と求める」。 ええことやと思うけど、最近のポリコレだるいな…。 色んな…

ひらめきの導火線 トヨタとノーベル賞(2008)

日本人には創造性がない。 日本人には個性がない。 日本人には独創性がない。 本編で当たり前のように語られる日本人の欠点。著者の茂木さんは実際、外国人にも指摘され、自身でもそう感じ、世界の常識だと思い込んでいるようだった。私は日本から出たことが…

ヒトはなぜ突然怒りだすのか?(2013)

仏教の匂いがする!と手に取ったら、案の定禅僧、藤田一照さんと著者の対談を発見し、着々と仏教アンテナ(?)が育ちつつあるなとにやり。著者はシステマ使いで、本編ではシステマ呼吸法がいかに怒りに有効かを書いている。システマの良さは吸って吐くだけ…

禅の坊さんもぼやく。そして学ぶ。(2017)

ご老人に席を譲る人を見て、世の中捨てたもんじゃないとほっこりしている自分は席を譲る気は少しもなかった、渋滞にハマるとイライラする、つい調子に乗って、それを注意されると腹が立つ、修行に本気で打ち込むようになった理由は失恋…。 崇高な禅僧のイメ…

仏像と仏教(2014)

千手観音さまの心が、あなたに宿る。仏に祈ると、祈った仏になることができる。仏に救われると、人を救うことのできる仏になることができる。千手観音さまだけではない、お釈迦さまも、阿弥陀さまも、お地蔵さまも同じである。祈った仏の仏心が宿るのである…

禅とジブリ(2018)

ジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんと禅僧お三方の対談。 中でも円覚寺派管長、横田南嶺老師のお言葉が読みたくて手に取った。老師のユーチューブはもちろん拝見、他の書物も読みたいし、ちょっとした追っかけだ。老師の優しいお人柄と枠に囚われない柔軟な…

イエスとブッダ いのちに帰る(2016)

キリスト教の知識がないばかりに何故イエスとブッダを比較し、共存しあえることを主張するのか、いまいち分からず。世界三大宗教だからか、なんでだろう?分からんまま読み進めるので、興味と気力が少しずつ薄れ、栞は本の真ん中でお昼寝中。 食物、自然、自…

現代訳 枕草子(2014)

からりと晴れた夏空のような、爽やかな文章。気取りのない内容は千年前に書かれた思えないほど瑞々しく、鮮やかだ。複雑で面倒くさい人間関係、相手を思えば思うほどすれ違う男女、くるくると姿を変える自然。人間、自然、どれも今と変わらぬことに驚きなが…

ブッダが教える「生きる力」の育て方 子どもとできるマインドフルネス瞑想(2015)

感情は5分10分しか続かない。 半信半疑だったがようく観察してみると本当に長く続かなかった。長引く場合は1度切れて、また湧き上がってくる。幽霊の正体見たり枯れ尾花。 自分の1日の心の動きを見ていると、よくもまあここまで常に騒がしく動いてるものだと…

『臨済録』を読む(2015)

若し人、仏を求むれば、是の人は仏を失す。若し人、道を求むれば、是の人は道を失す。若し人、祖を求むれば、是の人は祖を失す。 「示衆」 仏に逢えば仏を殺し、親に逢えば親を殺し、…で有名な臨済録。臨済とは中国の唐の時代を生きた僧である。真の自由を得…

鎌倉円覚寺 横田南嶺管長 ある日の法話より いろはにほへと(三)(2015)

同じ話の繰り返しだからと出版を躊躇されていた横田老師の背を押した表紙の写真。縁側でごろんと横になる猫。 「これはいい。この写真を見てもらうだけで第三集を出す意義が十分にある」と思いました。 引用:いろはにほへと(三) 老師曰く、横になる猫の姿…

鎌倉円覚寺 横田南嶺管長 ある日の法話より いろはにほへと(二)(2013)

牛を飼いならすように心を飼いならすこと。 獅子を飼いならすように心を飼いならすこと。 心は仏心であると同時に猛獣よりも恐ろしい。 鎌倉円覚寺 横田南嶺管長 ある日の法話より いろはにほへと(二) 発行:円覚寺 発行年:2013 本体価格:700円+税

鎌倉円覚寺 横田南嶺管長 ある日の法話より いろはにほへと(2012)

自己本来の観音様とは何であるか? それは、仏心と言っていい。 引用:いろはにほへと p18 観音経曰く、たとえ火の中、水の中、どんな困難にあっても慈悲を信じ、名前を唱えれば観音菩薩は救ってくださる、らしい。他の仏もそうだが、この他者を救いたい、半…

禅の教室 座禅でつかむ仏教の真髄(2016)

メモ 秩序を乱すのは欲望。 仏教は大まかに南伝仏教、チベット仏教、大乗仏教の3つに分けられる。教義や経典は違うがブッダや法の繋がりがあるので適度な緊張感を保っている。 ブッタは世の法(ダルマ)を発見した人で仏教の中心ではない。いなくても成り立…

地獄百景(2012)

以下、メモ 地獄は宗教、国関係なく、地下のイメージと上から下へ刑罰が重くなる傾向にある。死後裁きを受けると信じた最初の民族は古代エジプト人。善人は天国、悪人は地獄へ落ちる、この概念を宗教に初めて取り入れたのはゾロアスター教。地獄がなかったユ…

「禅」の問答集 生き方への問い 公案で学ぶ(2004)

衆生本来仏なり。水と氷の如くにて、水を離れて氷なく、衆生の外に仏なし。衆生近きを知らずして、遠く求むるはかなさよ。譬えば水の中に居て、渇を叫ぶが如くなり。 臨済禅、白隠慧鶴「座禅和讃」 常識、価値観、自分、ありとあらゆる枠を越え、自らの答え…

教えて、お坊さん!「さとり」ってなんですか(2016)

さとりって、何? 仏教界、最上級の難解な問いに答えてくれるのは様々な宗派の僧侶6名。聞き手は仏教ファンである小出遥子氏。対談方式で徹底的に噛み砕かれた「さとり」とは。 曹洞宗、藤田一照氏は「つながり」をたのしんで生きること、臨済宗、横田南嶺氏…