嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

死の壁(2004)

 養老先生の「〇〇の壁」シリーズ第二弾。自然体でからっとした考えを持つ養老先生の本は魅力的でつい手に取ってしまう。ユーチューブもしっかりフォローして観てるし、ちょっとしたファンか。

 本編は日本人の死に関する事の捉え方について。他にも死の境の曖昧さや死を排除したマンションの話も出てきて興味深い。

 特に印象に残ったのは何故人を殺してはいけないか。当たり前のことなんだけども人間は本当に、簡単に殺せてしまう。他の宗教は知らんけど、仏教では不殺を説いている。私の覚えている限り、命あるものはみんな自分が一番大切だから、殺したり、害してはいけないと教えていた。

 それを読んだ時、分かったような分からないような気がしていたけど、この本でようやく腑に落ちた。壊したものを元に戻すのは時間がかかるし(または修復不可能)、殺すと当然元に戻せない。だからブッダは不殺を説き、自分を含む生きとし生けるもの全てに慈悲を持てと口酸っぱく言っていたのだろう。

 しかし、こんな当たり前のこと、本を読まんと納得できん自分は何なんだろう。もしかして、当たり前だからこそ、納得するのに時間がかかったのか。どうなんだ。

死の壁

著者:養老孟司

発行:2004

本体価格:680円+税