嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

あきらめて極楽 悩んで地獄(2010)

 人を救うのは宗教のみ、お浄土、仏を信じろと繰り返し書かれていて、自分の仏教観との違いを強く感じた。

 これは価値観、知識の差だから、あーだこーだ書かんけれども、少なくとも私の知る仏教は信仰心を否定しているし、教えは丸呑みするんじゃなくて、自分で納得がいくまで調べるもんだった。

 本編には禅とか、色んな宗派の言葉や著者のエピソードが書かれていたけど、著者の仏教観は浄土真宗、浄土宗とか、とにもかくにも信じろ系だったように思う。信じろ!疑うな!は言わずもがな一神教だし、わしが仏教を学ぼうと思えたのは教えを徹底的に疑っていいからだったんだな。

 そうそう、前に「禅道とは平然と生きることと…」みたいな名言があるって書いたけど、その原作者(?)をこの本で発見した。

 彼の名は正岡子規(何で急に格好をつけた?)。

余は今迄禅宗の所謂悟りといふ事を誤解して居た。悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった。

引用:あきらめて極楽 悩んで地獄 p49 『病牀六尺』正岡子規

 どこで知ったか、私はこの言葉が好きだった。仏教はおろか禅も何たるか分からんし、もしかしたら一生分からんかもしれんけど、なんとなく正岡子規の言っていることが自分の中の仏教観、正解に近いような気がしている。

あきらめて極楽 悩んで地獄

著者:ひろさちや

発行:2010

本体価格:1000円+税