嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の全ての方々へ(1942)

マハトマ・ガンジーが日本ヘあてた手紙。 戦争、中国侵略を強く批判している。 無慈悲な戦争には最終的な勝者がいない、ということが何故あなた方にはわからないのか不思議でなりません。連合国でなくても、疑いなく他の何らかの勢力があなた方の手法をより…

本屋さんで待ちあわせ(2012)

初出:前ブログ 我らが日本国は効率性を掲げながら、平和主義を拗らせ、令和となった今でも非効率でまだるっこしい働き方をしている。故に国民は総じて時間がない。 趣味はおろか本を読む暇もないのだから、読書家は少子化同様、減少の一途。コロナ、ステイ…

たべたいの(2017)

初出:前ブログ 本書の著者、壇蜜の印象はよく分からない人であった。言動も世の人々を魅了する肉体も何もかも幻を見ているかのように曖昧で現実味がない。その印象が強いせいか、出演していた官能映画も全く色気を感じない。世間と自分の印象の差に戸惑いな…

オッパイ入門(2018)

初出:前ブログ 今作は漫画家であり、エッセイストでもある東海林さだおのエッセイ本である。オール讀物に掲載されたエッセイ15本と中野翠(コラムニスト、映画評論家)との対談が1つ収録されている。 「エッセイに論理はあまりいらないんじゃないか。論理を…

雑食映画ガイド(2013)

初出:前ブログ 一度は耳にしたことのある名作から、ポルノまで、ありとあらゆる映画情報を一冊に凝縮。本書は青年漫画雑誌「漫画アクション」に掲載されていた映画コラムをまとめたものである。 ざっと100本以上(ちゃんと数えてない)の映画をとめどなくあ…

チャップリン自伝 栄光と波瀾の日々(2018)

初出:前ブログ 今作はチャップリンが75歳のときに書き上げた自伝の下巻にあたる。上巻は幼少期からアメリカに渡るまでを描いたドラマティックな内容であった。下巻は一気にスターへ登り詰める様、映画の裏話、ロマンティックな恋や結婚が繰り広げられるのだ…

チャップリン自伝 若き日々(2017)

初出:前ブログ 世界の喜劇王、チャップリンの自伝。上下巻の上にあたり、イギリスで過ごした幼少期から小さな放浪者の誕生、アメリカへ発つまでのエピソードを描く。ハリウッド俳優の自伝はゴーストタイラーの手によるものが多いらしいが、この本はチャップ…

お友だちからお願いします(2012)

初出:前ブログ 「お友だちからお願いします」と、言ったことも言われたこともない。 超ネガティブな言葉から始まる本書は小説家三浦しをんのエッセイである。自由気ままな日記ブログをまとめた「ビロウな話で恐縮です日記」と打って変わり、こちらは様々な…

ビロウな話で恐縮です日記(2009)

初出:前ブログ 本書は同名のブログ記事を取捨選択し、まとめた本である。著者の三浦しをんは2000年「格闘する者に〇」でデビューした小説家。 面白いエッセイが読みたくて検索していたところ、本書を発見した。一番上に表示されていたレビューは「電車の中…

敗者復活(2008)

初出:前ブログ 作品情報 著者:サンドウィッチマン 2008年発行。 定価:1300円(税抜き) 内容 著者はM-1グランプリ初の敗者復活組、優勝者であるサンドウィッチマン。幼少期から優勝までの軌道を2人の視点で描いている。 M-1グランプリとは? 2001年から…

超訳ニーチェの言葉(2010)

初出:前ブログ 作品情報 著者:フリードリヒ・ヴェルヘルム・ニーチェ 編訳:白鳥晴彦 2010年発行 定価1870円(税込) 内容 ドイツの哲学者・ニーチェの書籍の中から、現代人に役立つ言葉を選別し、まとめた本。 感想 収録されているニーチェの言葉は232に…

文豪たちの友情(2018)

初出:前ブログ 作品情報 著者:石井千湖 2018年発売。本体価格:1500円税抜き 本の内容を一言で 今もなお愛される名作を書き残した、文豪達の意外な交友関係やエピソードをまとめた本。 感想 室生犀星や坂口安吾、太宰治など「名前や本の内容は知っているけ…

「哲学する!」練習帳 そのとき、あなたならどうしますか?(2002)

初出:前ブログ 著者・永淵 閑 内容は著者の経験を元に制作された、10個の問題に対し、自分なりの答えを導き出すというもの。 「哲学」と聞くと難しいイメージがあるが、この本は「自分ならどうするだろう?」とハードルが低く設定されているため、問題自体…

メンタル童貞ロックンロール(2019)

初出:前ブログ 作品情報 著者:森田哲矢(さらば青春の光) 2019年発行 著者、内容について ダ・ヴィンチニュースで約3年半連載されていたコラム「煙だけでいい……あとはオレが火を起こす!」を書籍化。著者はお笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢。キ…

大人も知らない世界の仕組み なんで水には色がないの?(2014)

初出:前ブログ 作品情報 著者:五百田達成 文響社 2014年発行 本体価格:1280円(税抜き) 著者プロフィール この章では簡単に著者のプロフィールをご紹介します。 五百田達成(いおた たつなり) 1973年東京生まれ。 東京大学教養学部アメリカ科卒業。心理…

文豪たちの口説き本(2020)

初出:前ブログ 作品情報 2020年発行 著者:彩図社文芸部 本体価格1200円(税抜き) 著者情報 株式会社彩図社、1991年設立。東京都豊島区にある出版社。 実録レポートや歴史、雑学など「読者の好奇心を本に」をテーマに幅広いジャンルを刊行している。 公式…

非道に生きる(2012)

初出:前ブログ 作品情報 2012年発行 朝日出版社 著者:園子温 本体価格:940円(税抜き) 著者 園子温(その しおん)。 1961年生まれ、愛知県出身。 映画監督兼脚本家。 作品:「紀子の食卓」「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」など。 鬼才、園子温の人生 …

先生、モモンガの風呂に入ってください!(2012)

初出:前ブログ 作品情報 2012年発行 著者:小林朋道 本体価格1600円(税抜き) 著者 小林朋道(こばやし ともみち) 1958年8月24日生まれ、岡山出身。 日本の動物行動学者であり、公立鳥取環境大学環境学部環境学科教授。 1993年4月岡山県野崎教育賞受賞。 …

ブッダ最後の旅 大パリニッバーナ経(1980)

ブッダ、最後の旅と死、そして死後の弟子達の様子を記録した「大パリニッバーナ経」を訳した本。訳を手掛けたのは中村元先生。 ブッダの死を聞いて「ああ、もう色々うるさく言われなくて済む」と口を滑らせた人がいたこと、それをあえて経典に残したのが面白…

読み替えられた日本書紀(2020)

日本書紀は欲望、時代の移り変わり、新しい文化、宗教など様々な影響を受け、独自の解釈を加えられてきた。儒学や仏教を元に解釈、現実世界と神話を結びつけるなど、強引な解釈が加えられ、時には偽書も制作された。当然、日本書紀は本来の姿を消していく。 …

理論的思考力を鍛える33の思考実験(2017)

トロッコ問題、5億年ボタンなど有名所の思考実験が収録された本。 この手の本は時間をかけて読まんとですね。著者も書いていたけど、友達とわいわいしながら読んだら楽しかろう。 …空想の友達に電話するか…。

死ぬまでに一度は読んでおきたいギリシャ神話入門(2012)

元々神に近い存在だった人間は徐々に獣に近い、愚かな存在に堕ちていった、神を蔑ろにし、戦争に熱中する人間達に罰を与えようとゼウスが作り出したのは不誠実で魅力的な女「パンドラ」だった…。徹底した男尊女卑、外見至上主義、命の軽視などなど…。 現代な…

邪眼は月輪(がちりん)に飛ぶ(2007)

見た者全てを死に誘うフクロウとそれと戦う人々の物語。 名作は読むと文字通り「言葉を失う」。 これを最大の称賛と感想にして、この記事を締めます。

阿刀田高の楽しい古事記(2000)

古事記の聖地巡礼の様子を綴ったエッセイ本。現代訳の古事記と聖地巡礼の様子が交互に語られながら進行する。 タイトルにもある通り「楽しい古事記」が出発点で、著者のジョークと癖のない文体は非常に読みやすい。 古事記における弟優遇は記紀の編纂を始め…

北欧の神話(2017)

北欧神話の先駆者的紹介者である山室静氏による本。山室氏はアンデルセンやトーベ・ヤンソンなどの北欧児童文学の翻訳も行った。 以下、気になった部分の引用。 「オーディンはしばしば姿を変えた。そんな時にはかれの体は死んだか眠っているかのように横た…

サイボーグ009(1964〜)

009は読むたびに石ノ森先生の膨大な知識量、繊細な描写力に驚かされる。ストーリーの面白さは言うまでもなく。 009は歳を重ねるごとに泣く場面が増えていく。今年はジョーの名言「あとは勇気だけだ」が追加された。さて、来年はどこで泣くのか。 歳を食って…

戦争プロパガンダ10の法則(2002)

「われわれは戦争をしたくない」 「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」 「敵の指導者は悪魔のような人間だ」 「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」 「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」 「われわれの受けた被害は小さく、敵に…

日本人の〈原罪〉(2009)

日本人の心を日本神話や風土記などで読み解く本。 フロイト曰く神話は「諸国民全体の願望空想の歪曲された残滓、若い人類の現世的な夢」であり「自分の好きな童話の記憶が自分自身の幼年時代の記憶に代わってしまっている人々がいる」らしい。 昔話の登場人…

古事記 日本の原風景を求めて(2017)

また、世界的にみても東へ向かう繁栄の歴史は多いものの、その反対は少ない。神武東征の物語は、日本という地域性を超えて、アフリカに生まれた我々人類の祖先が東へ東へと広がっていった歴史とも無関係ではないのかもしれません。 引用:古事記 日本の原風…

ビギナーズ・クラシック 日本の古典 風土記(2021)

約1300年前ほどに書かれた風土記。 常世の国、永遠の生命や若々しさを保つことができる海の彼方にある国、神仙思考。 振られた男を笑うための物語。 田畑を荒らす蛇や鹿と共存していたはずが、時代の流れと共に排除対象となる。 覗くことのタブー。貴い人を…