敗者復活(2008)
初出:前ブログ
作品情報
著者:サンドウィッチマン
2008年発行。
定価:1300円(税抜き)
内容
著者はM-1グランプリ初の敗者復活組、優勝者であるサンドウィッチマン。幼少期から優勝までの軌道を2人の視点で描いている。
M-1グランプリとは?
2001年から吉本興業が開催している、漫才の日本一を決める大会。出場資格はプロ、アマ問わず、結成15年以内の芸人。2010年に一度終了したが、2015年復活した。
審査基準は「とにかくおもしろい漫才」。
初の敗者復活優勝者、サンドウィッチマン
2001年から始まったM-1グランプリ。回を重ねるごとに参加者数、注目度が増し、今や年末の風物詩となっている。笑いに命を懸けた芸人達の姿は胸を熱くさせ、彼らの裏側にせまったアナザーストーリーは涙なしでは観られない。
著者であるサンドウィッチマンは2007年、M-1初の敗者復活からの優勝を成し遂げた。抜群に面白い無名のコンビが敗者復活を勝ち上がり、優勝したドラマチックな展開を覚えている人も多いだろう。
富澤、自殺未遂事件?
笑いの世界は売れるのが難しい。天才でもどんなに面白いネタを持っていても認知されなければ、食べていけない。サンドウィッチマンも20代は、全く目が出なかった。
売れなかろうが、生活が辛かろうが20代は若さのおかげで乗り切れた。しかし30を過ぎ、先の見えない将来や様々なストレスから富澤さんは体調を崩すようになった。
「やめようか」
この言葉に伊達さんは「まだ早いよ」と返す。
こいつ変だぞって。
僕は先に寝てしまったけど、妙に何か引っかかったままだった。(中略)
「富澤……自殺する気じゃないだろうな?」
(引用:敗者復活『富澤が自殺!?』伊達みきお)
結果を先に言ってしまうと富澤さんに自殺願望はなかった。幸か不幸か、このことをきっかけに2人は本気でお笑いと向き合うようになる。
M-1は出来レース!?
M-1は吉本興業が開催している大会だ。吉本や大手ではなく、小さな事務所に所属しているサンドウィッチマンは見えない壁を感じていたようだ。実際にこんな言葉をかけられている。
「小さい事務所にいるタレントは、エントリーするだけ無駄だよ」とも言われたことがある。
その一方で、もしかしたらという希望もあった。
(引用:敗者復活:『悔しさと諦めが交錯した準決勝敗退』富澤たけし)
M-1の審査基準は「とにかくおもしろい漫才」。事務所なんて関係ないだろうと一般人の私は思ってしまう。しかし、M-1は面白ければ勝ち上がれる簡単な大会ではないことを本書は教えてくれる。
事務所の壁、知名度など、サンドウィッチマンの優勝は色んな意味で大きな衝撃を与えた。
ファンには垂涎の情報が他にも色々
渋い富澤ボイスの真相や恋愛観、M-1を勝ち抜くための努力、決勝でネタが飛んだ話、東京ダイナマイトのハチミツ次郎さんの優しさ…、 サンドウィッチマン好きはもちろん、M-1、お笑い好きにはたまらないエピソードがこれでもかと詰め込まれている。
感想
「敗者復活」を読み終えた後、2007年のM-1をネトフリで見直した。M-1独特の緊張感、アウェーをもろともせず、笑いをかっさらっていくサンドウィッチマンは格好良かった。ネタの鮮度も当時のままでめちゃくちゃ面白い。
2021年はどんなドラマが生まれるのか、今から楽しみだ。
著者情報
・サンドウィッチマン
伊達みきお、富澤たけしからなる、お笑いコンビ。共に宮城県仙台出身。
2007年、M-1初の敗者復活からの優勝を成し遂げ、その後もテレビ、ラジオなどで活躍中。
株式会社グレープカンパニー所属。