嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

本屋さんで待ちあわせ(2012)

初出:前ブログ

 我らが日本国は効率性を掲げながら、平和主義を拗らせ、令和となった今でも非効率でまだるっこしい働き方をしている。故に国民は総じて時間がない。

 趣味はおろか本を読む暇もないのだから、読書家は少子化同様、減少の一途。コロナ、ステイホームの影響で本の売り上げが上昇したと聞いたが、一時的なものだろう。実に悲しい。

 コロナが終息し、以前のように仕事や日々の生活に忙殺され、全く本を読まなくなった人に贈りたい一冊がある。

 三浦しをん「本屋さんで待ちあわせ」。

 本書は活字中毒三浦しをんの書評集だ。漫画から専門書まで、ありとあらゆる本が登場し、その雑食っぷりに度肝を抜かれる。著者が紙の質感だけで出版社を当てるほどの本の虫とあって、どれも愛が溢れ、非常に興味をそそられる。

 この本を読むとき紙と鉛筆を用意し、気になる本のタイトルを書き留めると本の楽しさが数珠つなぎで広がっていく。

 現代人は異常な面倒くさがりでネット購入する人が多数だろうが、個人的に手書きのメモを片手に本屋ツアーの決行をおすすめしたい。こういう非効率なら悪くないと思うのだが、どうだろう?

 ちなみに表紙は著者のエッセイ「お友だちからお願いします」とリンクしている。

作品情報

「本屋さんで待ちあわせ」

著者:三浦しをん

発行:2012年

本体価格:1400円+税