嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

雨の玉川心中 遺書(1977)

 心中した太宰治と山崎富栄の遺書。

 不謹慎だが死の間際までお金を気にしている太宰が滑稽でおかしかった。

 太宰の死を坂口安吾は「二日酔い的に死んでしまった」と書いていた。これを読んだ時、いまいち理解できなかったが、遺書があっさり数行、なおかつ思わず吹き出してしまう内容(不謹慎2回目)で安吾の言う通り、数日経てば死ぬ気が失せる、二日酔い状態だったのかもしれない。

 あっさり、冷ややかにさえ感じる太宰とは対象的に山崎富江の文章は情熱的だ。惚れて惚れて惚れ抜いて1人の男のため全てを捨て愛を捧げる、まるで演歌に出てくる女のようである。実際富江は太宰のため心身を削り、貯金を使い果たした。総額は現在の価値で1000万超(わしも金の話をしてる…)。

 個人的に太宰の女の口説き方は天下一品(富江への口説き文句は「死ぬ気で恋愛してみないか」)だと思っているので執着に似た彼女の想いも分からんでもない。

私ばかりしあわせな死に方をしてすみません。

引用:雨の玉川心中 遺書

 太宰はどうだったんだろう?

雨の玉川心中 遺書

著者:太宰治 山崎富栄

発行:1977