嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

ぶっきらぼうで優しい神様「犬神」

お金持ちになりますようにっ

残念ながら今日は店じまいだ。その願いは聞き入れられねぇ

 神様にしてはぶっきらぼうすぎる犬神様。白犬そのものの容姿は神々しさもなければ、犬特有の可愛さもあまり感じられない。いや絶妙に可愛いのだが、個人差がでるというか、感受性の差がものをいうというか、まあそういう感じだ。

 犬神様がおわすのは石垣神社。神社では祭りが開催され、出店に人と大賑わいだ。仕事(?)を終え、出店を見て回ろうと思い立った犬神様は参拝客の中に気になるものを発見する。天狗に憑かれている少女、かなこ。天狗に連れ去られた彼女を救うため、犬神様は神々が住まう高天原へと向かう。

 古事記に登場する神々は全知全能でも親切でもない。人間臭く、暴力的でわがままなどうしようもない存在だ。神道の元を辿っていけば自然に行き着くのだから、当然っちゃあ当然なのだが。

 作り手さんが意識したかどうかは分からないが、犬神様も全知全能ではない。かなこを救うため、犬神様がするのは手助けだ。あくまでも選択が人間に委ねられているのが、とても日本の神様らしいと思った。自分を救えるのは自分だけ。これは仏教にも通じていて、日本に神道と仏教が共存している理由のひとつなのかなと思ったりしている。

 夜は神様は天へお帰りになり、代わりに神社の神聖な気にひかれた魔物が集まる。よく聞く話だけど、本当だろうか?

犬神

ジャンル:ホラー

推奨年齢:15歳以上

制作:ねん土

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