嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

珍祭・奇祭きてれつガイド 日本トンデモ祭

 暗闇で尻をつねる「尻つみ祭り」、その年の豊饒を占う「1人相撲祭り」、触れると厄落としになる「神男」を追いかけまくる「国府宮はだか祭り」など日本中の珍しい祭りを集めた本。文章だけでなく写真も掲載されている。

 個人的に好きだったのは茨城県の悪態祭り。お供物を守る天狗とそれを奪わんとする参加者の攻防。それに興を添えるのは罵り合いである。特に外国人参加者に対しての罵りは最高だった。

「なにいってるかわかんないんだよ!」

「チンチクリンな髪形しやがって!」

「変な外国人バカヤロー!」

 罵りながらもどこか優しさや温かさを感じるのは私だけだろうか。言われた方も「ファック・ユー」など相手への愛や敬意が滲んでいる。ネットで見る無機質な悪意だけのそれとは違う。私の知る最も感動する罵り、国際交流だ。

 他にも埼玉県のジャラポン祭りは死装束に身を包んだ幽霊が酒を飲んだり、ズンドコ節を踊ったりする奇祭である。特にぶっ飛んでいたのは祭りの由来を偽装している点だ。由来は誰も知らないのだが、ジャーナリストなどがしつこく訪ねてくるため、もっともらしい由来をでっち上げたらしい。このゆるさも奇祭、いや人間臭くとても好感が持てる。

 写真に映る人びとはジャラポン祭りだけでなく、皆楽しそうだ。それだけで十分な由来になる、そう思った。

 以下、気になった部分の引用。

また、人間は笑うと脳内麻薬物質であるβエンドルフィンが放出され、気持ちよくなるとされているが、このβエンドルフィンは、神に祈るときも分泌されるのだ。

珍祭・奇祭きてれつガイド 日本トンデモ祭 p71

珍祭・奇祭きてれつガイド 日本トンデモ祭

著者:杉岡幸徳

発行:2005

本体価格:1500円+税