嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

電波男はお呼びじゃない!

 言葉で損をしている人が多いような気がする。現実でもネットでも老若男女関係なく、あえて攻撃性の高い言葉を選んでいるように思える。このゲームの主人公、恩田取香(おんだとりか)も言葉で損をしている人物だ。

 幼少期、内気で泣き虫だった取香は見知らぬお兄さんから、「思ったことは言わなければ伝わない」と諭される。それをきっかけに何でも思ったことを口にするようになった結果、歯止めが効かなくなり、今ではクラスで腫れ物扱いされるようになっていた。自覚はしているが言葉が滝のように溢れ、徹底的に相手をねじ伏せずにはいられない。

 彼女に限らず、普通に話すのが困難な人がいる。これは接客業について驚いたことの一つなのだけど、ものを聞くだけなのにやたら高圧的、攻撃的な人がいる。それぞれ事情があるのだろうけど取香の場合、臆病だった過去の自分に戻りたくない焦りと不安が根っこにあった。周りを攻撃することで自分の弱さ、過去へ戻ることを阻止していた。しかしそれは自分と周りを傷付けるだけだ。

 そんな取香の前に現れるのは彼女を天使と呼ぶ、電波系ストーカー男、上部玲(うえぶれい)。取香ほど攻撃的でないにしても自分の思いに素直な上部の言動は彼女本来のペースを半ば強引に崩していく。電波であれストーカーであれ、あるがままの自分を受け入れてくれる相手に出会えた奇跡。現実はそうはいかないので、色んなことを流して、流しそうめんのように身軽に生きていきたいものだ。

電波男はお呼びじゃない!

ジャンル:ギャグ

推奨年齢:全年齢

制作:灰色

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