鬼とはなにか まつろわぬ民か、縄文の神か(2019)
φ(..)メモ
公家にとって武家は鬼。立場を脅かす将門を鬼とみなした。鬼の体は鉄でできていると考えられ、どんな攻撃でも耐えられるが、ただ一箇所眉間(こめかみの説もあり)であるとされていた。将門は眉間に流れ矢があたって落命した。
鬼はヤマトに従わぬ者「まつろわぬ民」の代名詞。
著者曰く、桃太郎も「ヤマトによる地方豪族の征伐物語をシンボライズしたもの」。
日本各地で行われる「来訪神祭り」は「鬼祭り」、つまり土俗神。なまはげもねぶたなどを指す。
酒呑童子の首塚、兵庫姫路「射楯兵主神社」、京都「首塚大明神」。
社名、通称に「鬼」が入っている神社は全国で61。うち42が東国にある。
記紀にない神名は記紀の成立した8世紀以前から信仰されていた神。
東人にとって鬼は海や山の異世界から「福」をもたらす。京都では山男、落ち武者、盗賊など災難をもたらす。
記紀における山岳信仰はスサノオ。古くから角牛頭天王と一体として祀られていた。
かつて「おに」は、「もの」とも「かみ」とも呼ばれていた。
それが漢字を充てられたことによってそれぞれ意味が分かれていった。
引用:鬼とはなにか まつろわぬ民か、縄文の神か p3
ついでにふれておけば、神の道、すなわち「神道」は、もともと大和言葉で「かんながらのみち」といった。(略)
いずれも神の意志のままに、といった意味であり、「神道」の語源である。
引用:鬼とはなにか まつろわぬ民か、縄文の神か p4
神道には、西洋の「神と悪魔」という二次元論のないのがむしろ特長なのであるが、それこそはこのように、悪神であっても懇切丁寧に祀りさえすれば、かえって強力な守護神になるということにある。
引用:鬼とはなにか まつろわぬ民か、縄文の神か p16
鬼とはなにか まつろわぬ民か、縄文の神か
発行:2019
著者:戸矢学
本体価格:1850円+税