嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

あなたがわたしをえらんだの「きっとぜんぶ私のせい」

 登場人物はみな自分にしか興味を持たず、好きだ別れたくないと言いながら、一切相手を見ようとしない。盲目的な彼らが求めたのは、恐らく都合のいい人間。それは元彼氏だったり、突然告白してきた隣のクラスの男子だったり、自分に依存し、言うことを聞いてくれそうな女の子だったりする。

 別れを認めない元彼女「胡桃」、隣のクラスの女子で現彼女「世良」、2人の彼女の間でフラフラとどっちつかずの主人公。この3人の織りなす物語は常に重々しく、それでいて馬鹿らしい。

 最初にも書いた通り、彼らは自分に都合のいい人間を求めているように思える。それは学生ならではの複雑な精神の息苦しさに耐えかね、救いを他者に求めた結果なのかも知れない。しかし自分を救えるのは、やはり自分だ。反対に誰かを求めるたび、苦しさは増していく。

 高校生である彼らにこんなことを求めるのは酷なことだろうが、もう少し、ほんの少し冷静に相手を、自分を見られなかったのか。まあ彼らが冷静になるとゲームが成り立たなくなるので、今度は私が困るのだが。綺麗なイラスト、可愛い女の子達、主人公の綺麗な手と会えなくなるのは本当に困るのだが。

 しかし私は、この重々しく美しいゲームを遊ぶ喜びを投げうってでも彼らに幸せになってほしかった。それくらい彼らが、このゲームを好きになってしまっていた。

 ゲーム紹介につけられたタグ「誰でもいいけどあなたしかいなかった」。たった一言でゲームを説明してしまう作り手さんのセンスに脱帽だ。

きっとぜんぶ私のせい

ジャンル:ノベル

推奨年齢:15歳以上

制作:めろn

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