嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

禅とジブリ(2018)

 ジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんと禅僧お三方の対談。

 中でも円覚寺派管長、横田南嶺老師のお言葉が読みたくて手に取った。老師のユーチューブはもちろん拝見、他の書物も読みたいし、ちょっとした追っかけだ。老師の優しいお人柄と枠に囚われない柔軟な発想、禅、人生への真摯さが滲む言葉のはどれも惚れ惚れするほど美しい。こんなことを感じるのは私だけかなと思っていたら、鈴木さんも同じようなことを感じていた。

「好きになった人は……」

横田管長は、躊躇うことなく応えてくれた。

「いつか自由になったら、燃えるような恋をしてみたい」

管長、ごめんなさい。しかし、ぼくは怒られることを覚悟で書きたくなった。ぼくはこのひとことで、横田管長を心から好きになってしまった。
それは禅の心が垣間見えた瞬間だった。

ひとすじの気持ちで、いま、ここに生きていないとこうは言えない。

引用:禅とジブリ p111

 老師の「いつか…」の一言はどうしても目頭が熱くなる。何度も読んでも涙ぐんでしまう。鈴木さんの言う通り、「いま、ここに生きていないとこうは言えない」言葉だからなのか。こうして引用を読んでもぐずぐずだ。歳のせいか、それとも老師のお言葉が美しいからか。切実に後者であって欲しい。

禅とジブリ

著者:鈴木敏夫

発行:2018

本体価格:1600円+税