嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

もし乙女ゲの攻略対象がギャルゲーマスターだったら

 主人公(プレイヤー)が攻略対象を攻略するんじゃねえ、攻略対象が主人公(プレイヤー)を攻略するんだ。

 どっかで聞いたような台詞だけども、これがこのゲームを遊んで浮かんだ言葉だった。

 主人公は新生活に心躍らせる高校一年生。校内を歩いていた彼女にぶつかってきたのは三年生の先輩。数え切れないほどのギャルゲーを攻略し、自らをギャルゲーマスターと呼ぶ「伽琉径益太(ぎゃるげいますた)」。ギャルゲーマスター=恋愛マスターだと勘違いしている彼はいきなり「お前を一年で攻略してみせる」と宣言する。

 見るもの全てをギャルゲーで解釈し、廊下での出会い、相合い傘、文化祭、バレンタイン、ベタすぎる恋愛イベントを強引に引き起こし、果てには恋愛バロメーターの説明、周りをモブ、話が通じなければバグ扱いするなど、最初から最後まで暴走しっぱなしの益太が愛おしくてしょうがなかった。私に限らず、度が過ぎた奇人を無条件に愛してしまうのは人のバグ(性)のように思う。

 主人公がドン引きするのもお構いなしに連発される奇行と迷言。人間の悩みの全て人間関係である。そんな言葉があるように益太の言動は人間関係に悩みに悩んだ末の結果だった。ギャルゲーから解決法を得ようとしたばかりに周りから誤解、変人呼ばわりされ、孤独を深めた。常に自信満々の益太は自分を「根暗で頭も悪いオタク」で、家族とも上手くいっておらず「ギャルゲーにしか居場所がない」と主人公に漏らす。

 思春期特有の迷走だと言ってしまうのは簡単だが、孤独や思い通りにいかない現実、自分の情けなさを抱え、苦しみ、もがく益太。周りにからかわれ、疎外されても人を求める姿は他人事に思えなかった。そんな中、先入観なく益太を見、付き合った主人公は本当に素晴らしいと思う。良かったね益太!

もし乙女ゲの攻略対象がギャルゲーマスターだったら

ジャンル:乙女ゲーム

推奨年齢:12歳以上

制作:ゆうれい

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