嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

完全自殺マニュアル(1993)

 物騒なタイトルのこの本は「生=善、死=悪」の方程式をぶっ壊すために書かれた。1993年に発売され、今もなお重版を重ねている。

 自分にとってこの本はお守りみたいなものだ。どうしようもなくしんどい時、心身共にくたくたで、でも誰にも相談できない時、とにもかくにも全てを終わらせたい時、この本を開く。しんどくなくても手に取ることもある。

 この本は他の本と違い、無限に湧き出す、死への憧れ、死による現実逃避を否定しない。むしろ「死んじゃっていい」と突き放すでも面倒くさがるでもなく、純度100パーセントの肯定を与えてくれる。

 死にたければ死んじゃっていい。

 この1言で冷え切った心は熱を取り戻し、安堵する。

 様々な自殺方法が書かれたページを捲るたび、心の温度は上昇していく。思考の視野も広がり、「いつでも死ねるなら、もうちょい、まあ明日まで生きてみるか」と空を見上げる余裕もできる。

 何事も中間、バランスが大事だ。この本は私にとって精神安定剤なのだ。