嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

認知症の人が「さっきも言ったでしょ」と言われて怒る理由 5000人診てわかったほんとうの話(2020)

※患者、暴力などの単語は著者が「レッテルを貼った瞬間理由を考えなくなる」などの理由から避けているが、言うまでもなく著者と私は別の人間なので気にせず書く。

 著者はのぞみメモリークリニック院長。5000人の認知症患者を診た経験から認知症の実態や事実を書いている。とにもかくにも認知症患者を人として捉え、寄り添うことが大切だと説く。認知症にみられる暴言や暴力などの行為は理由があり、薬で抑えるのではなく、原因を解明することで症状がなくなるという。

 認知症だからと人ではない何か扱いしない。

 言いたいことは分かるし、院長の言い分は素晴らしいと思う。が、私は家族がある日突然暴力的になり、自分の便で遊び始めたら、認知症が原因だと分かっていても冷静でいられない。すがる思いで病院へ連れていき、「あなたが変わってください。あなたの理解こそがご両親を変えます」と説得されたら絶望する。本当に困っているのは認知症の当事者だが、寄り添いや思いやりは心に余裕があってこそなのだ。

 勘違いならいいのだが、認知症問題になると介護側の人間性が消失するのは何故だろう?暴力を振るわれても暴言をはかれても便を投げられても相手の立場を考え、行動する。そんな人間、この世に存在するだろうか?身近な人間が認知症になったら周りは自動的にロボット化するのか?誰か、教えてくれ。

認知症に後ろ向きなイメージを持つことは認知症になった時の人生が闇となる」というのは著者の言葉。

 わし、介護や認知症にネガティブなイメージを持ち過ぎなのかもしれんねえ。