嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

介護現場のクレーム・トラブル対応マニュアル(2018)

 タイトル通り、介護現場で起こるクレームやトラブル対応について書かれた本。

 自分は人間、誰でもミスはするもんだと思っているのだが、この本を読む限り、ミス=死を意味するようだ(大袈裟)。介護職は命を預かる仕事なのでちょっとしたミスが命取りになるのは分かるのだが、当たり前のように原因は介護者にあるとされているのが気になった。個人的に弁解の余地さえ与えられていないように見えた。

 全編を通して利用者には徹底した寄り添いがされているのに、介護者への寄り添いが感じられない。この不平等さが実際の現場でもまかり通っているなら、介護業界の人手不足は当然である。あってはならないが、虐待でさえ何かしら理由があると思っている。「本当に幸せな人間は人様を攻撃しない」といもしない、じっちゃんが言っていた。

 中でも闇を感じたのは利用者の尊厳、人権などを語る一方、彼らを「かまってちゃん」「察してちゃん」と表現していたことだ。その姿は「中身がないヤツはキライだ」と説教するちくわそっくりだった(ボボボーボ・ボーボボ)。まあ、本と現場は違うだろうし、というか違うと信じたい。たぶん、だいじょうぶ。

 介護業界で耳にタコができるくらい登場する「寄り添い」。それを介護者、利用者で半分こするわけにはいかんのだろうか?それにしても私は介護業界にネガティブな感情を持ち過ぎだな?

 以下、本編で気になったところなど。

 認知症周辺症状は多くの人に当てはまると感じた。不快を言葉で説明できない人は意外に多い。

●身体不調型

症状:興奮して動き回る、気の進まないことがあると興奮するなど。

原因:便秘、下痢、痛み、かゆみなど。

●遊離型

症状:無関心、無感動など、穏やかな認知症高齢者として認識されやすい。が、いずれ食事を取らなくなり、全介助となる。

原因:低意識。水分ケア、運動を行うと改善。

●葛藤型

症状:乱暴、異食、物集めなど。

原因:自分の置かれている状況に納得がいかず、全てが敵であるため孤独。

認知障害

症状:自分の置かれている状態が分からないなど。

原因:不安。

●環境不適応型

症状:新しい環境、見慣れない場所などへの拒否感。

対応:関係性を築く。

●回帰型

症状:その人の古き良き時代に戻る、介護職を我が子と認識など。

対応:共感。

●接遇技術

ユマニチュード

バリデーション療法

パーソンセンタードケア

※本を読みながら、適当にまとめた。

 介護系の本を読むたび、「お前はいつ死ぬのか?」と問われている気がしてならない。人様はどう生きようと関心はないが、自分のこととなると長生きしたくないなあと切に思う。

不安の病(2009)

 年を食ってから気付いたのだが、私は因果関係が大好きだ。因果関係を解説している本はのめり込むように読んでしまうし、その法則が当てはまるものを見つけると興奮を通り越してエクスタシーを感じる。

 というのは言い過ぎた。

 自然も人間も経済も何もかも因果関係。一神教への信仰心が全くないのは因果関係の法則に乗っ取っていないからだろう。まあ、私が疑い深すぎるのかもしれないが。

 さて本書も終始、因果関係が記されている。過剰に不安が湧く仕組みはもちろん、そこから起こる体の反応、言動、行動…。私が幼少期から他者と距離を取りたがるのは「回避行動」で、目を合わせないのは自衛のための「安全行動」。不安を回避すればするほど不安は増加し、克服の難易度があがっていってしまう。

 何気ない言動の原因が不安だったなんて!という驚きと感動。所詮人間は服を着た猿。体は電気信号で動いている。

 幽霊の正体見たり枯れ尾花。

 あれ、なんの話だっけ?

不幸な認知症 幸せな認知症(2014)

ボケたら困る、ボケないようにしよう、と思っていますか?

ボケたっていいではないですか。

認知症は早期発見で治る病気でもなく、予防もできません。

90歳になれば6割は認知症です。

だったら病気を恐れず、

それまで楽しく暮らすほうがいいのではないでしょうか。

引用:不幸な認知症 幸せな認知症

 認知症を告知された人、家族、介護職などに向けて書かれた本。

 とにかく認知症患者に寄り添い、楽しく生活してもらう。困った言動も背景があり、原因を取り除き、張り合いある生活を送れば、解決するケースが多いと著者は説く。

 接する時は「指摘しない、議論しない、怒らない」。

いつも心の中では家族にたくさん感謝しているのに、素直にそう言えないのは、ご家族の対応も関係しますよね。

もっと尊敬の念を持ってくれたら、

やさしく接してくれたら、

「ありがとう、いつもお世話になっているね」と

あなたは言いたいのではないでしょうか。

引用:不幸な認知症 幸せな認知症

 これが認知症に関わる人達の基本的な精神?

 こんなに優しい人が近くにいたら私、いや、多くの人の人生が変わっただろうに。犯罪、いや、戦争だってなくせるだろうに。

 認知症に関わる方々は仏か何かです?

はじめての認知治療(2011)

 いつも思うのだが、健康的な精神状態ってどんな感じなんだろう?

 自分は物心ついた時から不安と共にあり、今日まで不安障害のエリート道を突っ走ってきた。ゆえに健康な精神状態が分からない。ほぼ毎日ぐっすり眠れて、目覚めスッキリ、悩みがあっても寝れば、食べれば忘れてしまう…。そんなギャグマンガのキャラクターみたいな精神が本当に存在するのか。人間ってそんな単純なもんじゃないだろう?という考えがゆえに(2回目)不健康なのかもしれない。

 人として生を受け、今日までなんとか人間社会を生き抜いてきた。その中で当然健康的な人との接触はあった。その都度感じたのは理解のしがたさだった。

 どうでもいい場面での建前、場違いな本音の吐露、どうでもいいことを大真面目に語り、些細なことに執着する…。本能と理性、「冷静と情熱のあいだ」が複雑に入り混じった世界を、どうやら人は疑うことなく、当然のように受け入れ、朗らかに生きている。かと思えば、急にマカロンが食べたいと言い出したり、一緒に踊りましょうと誘ってきたりもする。

 乱心しているのは、どっちだ?

「いいえ、泣くというより、……だめね、人間も、ああなっては、もう駄目ね」

引用:人間失格

 関係ない話をしてしまった。関係なさすぎて(?)人間失格のマダムまで召喚してしまった。

 本の内容はタイトル通り、精神疾患における認知の歪みを治す方法が書かれている。自動思考(無意識に浮かぶ感情や考え)を見つめ直し、現実と比較して認知のゆがみを直す。

特徴的な認知の偏り

  • 思い込み、決めつけ
  • 白黒思考
  • べき思考
  • 自己批判
  • 深読み
  • 先読み

 この記事の前半は見事に認知の偏りを表現していますね。生きるって、もっと曖昧、なあなあでええんかのう…。

はじめての森田療法(2016)

 神経衰弱(現在の神経症)を患った経験を持つ精神科医森田正馬(1874-1938)により生み出された日本独自の精神療法「森田療法」について書かれた本。

 精神疾患となった原因を解明し、アプローチしていく西欧の治療法と違い、森田療法は目の前のことに集中し、病や病を患った自分を「あるがまま」に受け入れることに重点を置いた治療法である。

 気付いた人もいるかと思うが仏教がベース。日本人にとって宗教は生活になじんでいるものなので、改めて名前を出されると拒否感があるだろう。

 しかし、最近は人生のアドバイザーとしてブッダを召喚している本が書店に並んでいるし、ちょこちょこ聞くマインドフルネスも元を正せば仏教にある。そうでなくとも仏教が生活に溶け込んでいる日本人にとって仏教をベースとした森田療法は受け入れやすく、性にあっていると思う(誰目線?)。

 森田療法を知るキーワードは以下の通り。

  1. 「できること」と「できないこと」
  2. 自然に生きる
  3. 内的自然
  4. 心の流動
  5. 「理想の自己」と「現実の自己」
  6. とらわれ
  7. 「かくあるべし」と思想の矛盾
  8. はからい
  9. 生の欲望と死の恐怖
  10. 感情と感情の法則
  11. 気分本位と事実本位
  12. あるがまま

引用:はじめての森田療法 

 森田がこの療法を産みだしたきっかけは自身が患っていた神経衰弱の克服体験にある。学生時代、仕送り問題で追い詰められた結果、薬などを一切止め、勉強に集中した。過去や未来にとらわれることなく現状に集中することで神経衰弱による「とらわれ」から抜け出せたのである。関係ないが坂口安吾も同様の方法で精神疾患を克服していた。一般人には真似できない、ものすごい力業である。

 森田が当時行ったのは入院を基本としていたが、現在は現代人に合わせた治療法に変化し、通院でも治療可能である。一時、いや今でも西欧療法に圧され、森田療法を行う病院や医師は少ないようだ。個人的に治療法が多い方が良いと思うのだが。

 最後に心に残った一文。

そして、苦悩からの回復とは、悩む以前の状態に戻ることではありません。それは生き方が変わることであり、人生の行き詰まりを乗り越えることで成長していくことでもあるのです。

引用:はじめての森田療法

あなたの家族が心の病になったとき まわりの人はどう接したらよいのか?(2009)

 家族が統合失調症鬱病などの精神疾患にかかった時、どうすればよいか書かれた本。寄り添いが最優先されているわりに病気の知識が浅く、痒い所に手が届かない(個人的に寄り添いは知識があってこそと考えているため)。

 自分は生まれながらの不安障害でストレスからちょっとしたことで癇癪を起し、ハイジよろしく夢遊病を発動、場面緘黙となり学校では格好のいじめの対象に、その後は流れるように不登校、引きこもりになった。親からすればめちゃくちゃ育てにくい子供だったと思う。まあ、こっちはこっちで365日24時間不安で余裕がないのに「なんで、みんなと同じようにでけへんねん!」と親に怒られ大変だったのだが。とにかくお互い必死過ぎて相手が見えていなかった。

 過去は変えられないが、親に精神病の知識が、いや、なくても…とここまで書いていて気付いたのだが、子供の頃の私、明らかにおかしいな?なんで両親は病院へ連れていかなかったんだろう?親特有の「我が子に限ってバイアス」か?教えて、おじいさん(夢遊病繋がり)。

 真相はともかく「知識は周りや自分を守る強い武器になりますよ」ということを書きたかった(強引に締めた)。

 そうそう、この本でボーダーラインなる精神病を知った。ネットでよく見るタイプで、みんな病んでいるのだなあ、だからYouTubeやヤフーなんかのコメント欄は読んでいてしんどいのだなあと妙に納得。生きづらさを感じたら病院へ。しんどい思いをするのは俺で終わりにしてくれ。

ボーダーライン(境界性パーソナリティー障害)とは

物事、人を善悪でしか考えられない。見捨てられることへの不安が強く、相手に近づくため様々な要求を繰り返し、時に攻撃、リストカットなどを行う。気に入った相手を理想化し、枠からはみ出ると激しく攻撃する。

相手に近づきたいが近づけないため「ハリネズミのジレンマ」と呼ばれることもある。仮説ではあるが生来攻撃的で我慢できにくい性質を持っている人が発症する。また家庭環境などが影響することもある。

※本を参考にした、まとめ

認知症 いま本当に知りたい101(2017)

※ほんとのメモなので間違っている箇所があるかも。

 薬は体のどこかに作用するから副作用がある。副作用がない薬は効果がない。

 認知症は病名ではなく、症状(状態)のこと。

 認知症は脳細胞が傷付き、死滅するので治療法はない。85歳以上で30パーセント近く発症し、誰でも発症する可能性がある。

 若年性認知症は64歳以下の発症を指す。高齢者より進行が早い。体が元気な分、介護が大変である。

認知症中核症状

 記憶障害、見当識、判断・実行機能、失語・失認・失行、病識欠如

●脳神経変性疾患

 何のきっかけもなく脳内に異常物質が溜まり、神経細胞が死滅していく。アルツハイマー、レビー小体など。

アルツハイマー認知症

 きっかけがなく、防ぎようがない。記憶力などが低下。発症20年前くらいから老人班が出現。発症10年くらい前から神経原繊維変化が起り始める。老人班がある場所が委縮してしまう。この仮説が正しければ、アルツハイマーが防げるかも?

 女性の方が発症しやすいのは長生きであるため。女性ホルモンは脳の神経細胞をストレスから守る。閉経すると女性ホルモンが減り、脳神経が傷付きやすくなる。女性ホルモンを充填しても効果はない。ちなみにコラーゲンなどは皮膚に塗っても意味がない。皮膚は菌などの侵入を防ぐ機能が高いためである。

●脳血管性認知症

 脳の血管が破裂し、酸素と栄養が脳に届かず、認知症となる。ダメージ部位により、認知症にならないこともある。海馬周辺にダメージを受けると記憶障害などが起る。

 男性の方が発症しやすいのは女性に比べ、平均的に血圧、飲酒率、喫煙率が高いからである。

レビー小体型認知症

 レビー小体が大脳を中心に出現。原因不明のまま神経細胞を攻撃、認知症となる。

初期段階で幻視が出現、他にも記憶力低下などの症状が出る。原因不明であるが男性に多い。

パーキンソン病

 レビー小体症の1つ。初めにレビー小体が中脳に出現。主に体の動きに異常が出る。

●ピック症

 前頭葉や側頭葉の神経細胞にピック球が出現。大脳皮質の前頭葉、側頭葉が特に委縮し、人格変化と情緒障害が現れる。ピック球が見られなくとも、似たように前頭葉、側頭葉が駄目になるケースもあり、両者を「前頭側頭型変性症」と呼ぶこともある。初期では知的機能は保たれているが、進行すると他の脳の部分にも障害が広がっていく。暴力、無関心、窃盗などが見られるため、患者及び、家族も精神的苦痛が大きい。