嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

ゲームキャラしか愛せない脳(2010)

 浮気防止に長くなった性行為、射精まで時間を要するため、生み出された愛撫と喘ぎ声。これらは人とニホンザルの特徴であるという。更に人は互いの関係性を隠すため性行為を恥ずかしいと考えるようになり、それが行為に甘美さを加えたと著者は説く。

 他にもセックスレスできちゃった婚、新婚と出産の弊害、快感のある性行為の危険性など、本編の大半は人間の性行為に費やされ、肝心の「ゲームキャラしか愛せない脳」は雀の涙程度にしか書かれていない。

 肩透かしを食った形になったが、それよりも気になったのは男女の描写だ。女は性行為の気持ちよさに比例し声が大きくなる、性行為を意識し、派手な下着をつけている女に男は萎える、反対に性を生業にするプロなら問題ない、男は性行為において主導権を握り、相手をその気にさせ、自分との関係にのめり込んだと思いたい…など、どうにも決めつけが多い気がした。

 これらに個人感想と経験の前置き、根拠のあるデータを交え書いていれば、引っかからず素直に読めたと思う。霊長類のコミュニケーション研究の第一人者である著者があけっぴろげに自身の性体験を書くのは色んな意味で難しいのかも知れないが(本書は既にそう読めるが)、もうちょっと客観的な視点がほしかった。

 男性よりも女性の性行為の記述が多かったのは必要に応じてか、男性である著者の本能がそうさせたのか、それとも…?

ゲームキャラしか愛せない脳

著者:正高信男

発行:2010

本体価格:720円+税