嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

移住者が暮らしやすい社会に変えていく30の方法(2012)

 タイトル通り、移住者に寄り添う社会を提案する内容であるが、個人的に偏った意見が多いと感じた。この本の根っこにあるのは外国人移住者への偏見の払拭、日本人との仲を取り持ちたい気持ちであると思う。

 しかし、これは私の感性の問題かもしれないが、明らかなルール違反(不法入国、オーバーステイなど)の人間をまるで被害者のように描くのはどうかと思う。理由はどうであれ、その国のルールに従うのは世界各国同じである。不法入国をしていながら強制送還が怖いと訴えられても同情できないのだ。

 仮にこの本の主張がまかり通るなら、私が海外で犯罪を犯しても「外国人だから」という理由で罰せられないことになる。これはどう考えてもおかしい。

 このような主張が続き、早々読むのを止めてしまった。内容を勘違いしているなら遠慮なく指摘していただきたい。

 読み終わっていないのに意見を書くのはどうかと思うが、個人的に移住者問題は日本と移住者両方の知識不足が招いているように感じた。日本は衰退の一方でもう先進国ではない。しかし移住者は「豊かで心優しい国民が住む日本」という幻想を持って来日する。実際に生活してみると現実とのギャップに失望し不満が募る。

 対して日本は鎖国時代が長かったこともあり、異国への免疫、知識が少ない。ゆえに互いを理解できず摩擦が生まれ、また言語の壁もあり、悪感情が高まる。

 個人的に移住者について日本国内で時間をかけ、議論した方がいいと思っている。移住者の受け入れのメリット、デメリット、法律、支援など。鎖国の長かった日本は異国文化への免疫がない。中途半端なままの受け入れは非常に危険だ。

 筆者達は移住者の問題などに詳しいはずである。何故中立的な書き方ができなかったのか、はなはだ謎である。