嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

「教養」として身につけておきたい 戦争と経済の本質(2016)

 小難しいタイトルであるが簡単に内容を説明すると「戦争には経済がものを言うよね~(はるな愛)」。経済力だけでなく地政学から見る戦争も解説されており、個人的にはこちらの方が興味深かった。地政学の基礎を築いたマッキンダー(イギリスの地理学者兼政治家)曰く、重要な大陸はユーラシア大陸のみであるという。ユーラシア大陸は世界の中心であり、中でも中国西部、モンゴル、アフガニスタン、ロシア南部から東欧の一部をハートランド’(心臓地帯)とした。

なぜこの場所が重要なのかというと、このエリア一帯は、河川を使って、太平洋やインド洋、地中海に出ることができないという独特の地理的特性を持っているからです。このエリアを流れる川は、北上して北極海に注ぐか、カスピ海などの内陸の湖に流れ込むしかなく、海上輸送という既存の交通インフラとは完全に切り離された状況にあるのです。

国家のパワーバランスは基本的に経済活動で決まりますから、既存の交通インフラから切り離されている地域は、国家間のパワーバランスにおいても、隔離された状況に置かれることになります。

引用:「教養」として身につけておきたい 戦争と経済の本質

 マッキンダーは他にも海軍力、海上輸送システムがスムーズに行える能力をシーパワー、陸上交通システムを主とする陸軍力をランドパワーと名付けた。

 経済を回すなら言わずもがな、国内と貿易の二刀流が良い。陸続き、つまりランドパワーが強い国は防衛が最優先となり積極的に貿易ができない。対してシーパワーが強い国、例えば日本は隣国との間に海があるため貿易に集中できる。輸送コストも海が一番安い(輸送コストの高い順は飛行機、トラック、鉄道、船)。今も昔もシーパワーの強い国は海を欲しがる。

 地政学から日本を見てみよう。隣国の中国とロシアはランドパワーが強い国である。中国は海に面しているが目の前に日本がある。日本は何かと対立しがちなアメリカの同盟国だ。地図を見ながら「邪魔だなあ」と思わず呟いた。

 中国とロシアへの抑止力となっているのはアメリカだろう。しかし世界の警察と呼ばれたアメリカはかつての勢いを失いつつある。アメリカが世界の警察として活動していた理由の1つは石油であったという。だが2014年時点でアメリカは石油輸出国世界1位となった。さらに長期化したアフガン戦争で疲労し、世論は、国はアメリカファーストを掲げた。アメリカは内向的な国へと変化しつつある。

 目まぐるしく変化する国際情勢、自分のことは自分で守るという当たり前のことを意識し始めた日本。日本はこれからも国でいられるのだろうか?何かと平和の守護神として持ち上げられる第9条は本当に有効なのか?祈りで戦争が防げるならば、世界は既に平和なのではないか?

 つい熱くなって妄想を広げてしまった。妄想で済めば、いいなあ…。