嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

結婚は墓場。じゃあそこで生まれた僕は?「いつも仲よしボクの家」

 これはもうどうしようもないことなんだよ。

 そう言ってパパとママは僕にどちらと暮らすか選ばせた。

 結婚は人生の墓場というが、墓場で生まれた子供は鬼太郎よろしく人なざるものなのか。プレイヤーは離婚間近の夫婦の子供となり、パパとママどちらと暮らすか選択する。何度か質問が繰り返され、パパを選べばママが、ママを選べばパパが相手を口汚くこき下ろす。その醜さと馬鹿馬鹿しさは結婚や愛の裏の顔を見ているようで静かに心が死んでいく。

 ああ、ここは墓場ではなく地獄だったな。

 一言も発さず、両親と向き合いプレイヤーに背を向け続ける子は一体どんな表情を浮かべているのか。世界で唯一の存在、大切なパパとママの罵り合いをどんな心境で聞いているのか。憎しみで目がくらんでいる両親に我が子の姿は映らない。

 パパとママ、どちらに引き取られれば幸せか。

 どちらも試してみたがどっちもどっち、どんぐりの背比べ。離婚しようが口汚く罵り合おうが構わないが、せめて子供の前では控えてくれと強く思う。

 気がかりなのは子供の未来だ。大人の事情に巻き込まれ、醜い姿を見せられた子は心身共に健康に生きていけるのか。

 君は何も悪くない。

 墓場に生まれた身として人なざる精神を持っていてくれ。そう祈らずにはいられない。

いつも仲よしボクの家

ジャンル:短編ホラー

推奨年齢:?

制作:因果小僧六之助

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