嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

ムーミン童話全集①ムーミン谷の彗星

発行:1990年

トーベヤンソン「おらおらおらおらおらおらあ!!(名言連発弾)」

管理人「ぬわああああ!」

END

 全編通してこんな感じ。体感二行に一つは名言がある。

 前にムーミン解説本を読んでトーベヤンソンはスラダンのみっちーばりの名言製造機だなと思ったが甘かった。ムーミン体形のオカンが40超してクラシックバレエやりたい!と言い出し、許可したオトンくらい、めちゃくちゃ甘かった。オカン、やめろ!膝が死ぬぞ!!

 体感二行に一つは名言がある(二回目)。しかも全部大ダメージを食らわしてくる。

 まずジャブ。地球に彗星がぶつかると言い放ち、ムーミン達を怖がらせる哲学者じゃこうねずみに対するパパの一言。

「あの人は、ひとりぐらしが長かったから、いいたいことを、そのまま口にしてしまうんじゃないかな。」

引用:ムーミン童話全集①ムーミン谷の彗星

 友達0、家族ともほとんど話さない俺氏、無事死亡。

 心当たりがありすぎて、しばらくページがめくれなかったほどの大ダメージ。一話目からムーミン谷の危機やん!?ムーミン谷どうなるん!?と感情移入していたので余計に深いダメージを受けた。

 心配すべきはムーミン谷じゃなくて自分だった。まさかの伏兵。正論+悪気がないので追加ダメージ。

 彗星にビビり倒すムーミンとスニフ(カンガルーみたいなやつ)にパパとママは天文台へ行って彗星を見てきたら?とすすめる。

 天文台へ向かう途中で出会うのは大人気キャラ、スナフキン。彗星とは何か二人に聞かれてスナフキンが返したのがこれ。

「きみは、そんなことも知らないのか。きみたち、危険な星を観測にいくんだろ。彗星というのはね、ひとりぼっちの星で、気が狂ってるのさ。それで、尾をひきながら宇宙をころげまわっているんだ。(略)」

引用:ムーミン童話全集①ムーミン谷の彗星

 トーベヤンソン、わしを殺す気か?

 見方を変えれば、トーベヤンソン本人も孤独を体験していたといえる。確か幼少期は内気で決してぱーてぃーちゃん(ギャル二人とチャラ男一人で結成されたお笑いトリオ)に加入出来るようなタイプではなかったとどこかで読んだ。

 孤独から逃げず、受け入れ、観察し続けたからこそ、彼女は孤独人間の息の根を的確にしとめるアサシンになれたのだろう(?)。

 天文台に到着し、彗星を観察し終えたムーミンスナフキンの会話。

「(略)彗星って、ほんとにひとりぼっちで、さびしいだろうなあ……。」

「うん、そうだよ。人間も、みんなにこわがられるようになると、あんなに、ひとりぼっちになってしまうのさ。」

引用:ムーミン童話全集①ムーミン谷の彗星

 孤独のエリートである自分と違い、ムーミンの隣にはスナフキンを始めとする仲間や家族が、おまけに相思相愛のスノークのお嬢さんもいる。どう転んでも孤独な彗星になれっこない。

 我に返って息が詰まる。でも孤独が極悪でないのはスナフキンを見ての通り。

 関係ないけどムーミンとスニフがやたら「ゲロ吐きそう…」と話していて笑った。幼少期、ゲロチルドレンだったので懐かし。脳裏に浮かぶ、ゲロスパゲッティ。子供はよく吐く、本当に。