嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

バッタを倒しにアフリカへ(2017)

 ファーブルに憧れ、とある物語の影響でバッタに食べられたいと、アフリカ・モーリタニアへ向かったバッタ博士の奮闘記。著者は昆虫学者(バッタ博士)こと前野ウルド浩太郎氏。

 バッタ博士はアフリカの空港に着いた途端、荷物受け取りの賄賂を要求され、研究のため雇った人間からも給料をふっかけられ、隙きあらばカモられている。救いなのは博士がお世話になる研究所の所長が心優しい人物でモーリタニアの地に賄賂が蔓延っている現状に心を痛めていることだろうか。

ババ所長は、私の行く末をずっと気にかけてくださっていた。

「なぜ日本はコータローを支援しないんだ?こんなにヤル気があり、しかも論文もたくさんもっていて就職できないなんて。バッタの被害が出たとき、日本政府は数億円も援助してくれるのに、なぜ日本の若い研究者には支援しないのか?何も数億円を支援しろと言っているわけじゃなくて、その十分の一だけでもコータローの研究費に回ったら、どれだけ進展するのか。コータローの価値をわかっていないのか?」

大げさに評価してくれているのはわかっていたが、自分の存在価値を見出してくれる人が一人でもいてくれることは、大きな救いになった。

引用:バッタを倒しにアフリカへ p262

バッタを倒しにアフリカへ

発行:2017

著者:前野ウルド浩太郎

本体価格:920円+税