嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

愛と憎しみ 奇跡の老々介護(2017)

 息子、阿井渉介、七一歳、母、百歳。

 仕事、趣味に明け暮れ、家事経験無しのザ・昭和男の介護記。 母親の下の世話さえ苦痛ではなかったと言い切る著者がそう思えたのは小説家の肩書の元、時間と金銭面の余裕があったからだろう。

 介護、家事が未経験ながらも母のため奮闘する息子。その思いに応えようとする母の姿は理想の親子、理想の介護像だ。

 一秒でも離れていたくない。

 まるで恋人のような互いへの深い愛に、失礼だが若干の気持ち悪さを感じた。これは私が距離のない人間関係が苦手だからだろう。

 気になったのは著者による元嫁への不満。性格の不一致や不満があったのは分かるが、元嫁、今では赤の他人のことを書くのはどうかと思った。