嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

やっぱり、このゴミ収集できません(2020)

  お笑い芸人マシンガンズ滝沢さんによる著書「このゴミシリーズ(勝手に命名)」第二弾。内容は前作同様、清掃員あるあるやゴミから分析するお金持ちとそうではない人の違いなどについて書かれている。

 心に残ったシーンをいくつか。

(略)僕がこう考えるずっと前、ギニア出身の清掃員と一緒に働いて、言葉に詰まってしまったことがある。
「ナンデ、ニホンジンハ、ステルモノヲ、カウノ?」
僕は答えられなかった。言葉に窮して、そういう国なんだよと答えてしまった。胸を張ってこれが答えだと言える人がどれくらいいるだろうか?
引用:やっぱり、このゴミは収集できません

「捨てるために物を買う」とは言い当て妙である。一時期話題になった「MOTTAINAI」は死に体だ。豊かさ、利便性とは何か?を考えさせられる。

 また清掃員として毎日狂ったように出されるゴミと向き合う中で、滝沢さんはある日ゴミで覚醒することを決意する。

僕は本気でゴミで覚醒してやろうと思った。

嫁に本気で「僕はゴミで覚醒する」と言ったら、爆笑された。しばらく笑った後に「何で覚醒するんだっけ?」と言われ、「ゴミ」と答えると狂ったように笑っていた。恥ずかしかった。まぁ確かに突拍子もないことだから仕方がないが、僕の中では未熟ながら、うっすらと道筋は見えていた。

女っちゅーのは、世の中の仕組みをわかっていないんだなぁと昔親父が言っていた台詞を、そのまま一言一句変わらず言ってみた。その時に俺も親父になったんだなぁとしみじみと思った。

引用:やっぱり、このゴミ収集できません

 私は本書の中で「女っちゅーのは、世の中の仕組みをわかっていないんだなぁ」という一文が大好きだ。一部の怖い人が怒り狂いそうな主張だが、人の本能とバカさ加減が見事に表現されていると思う。

 坂口安吾の「青鬼のふんどしを洗う女」、安部公房の「砂の女」でも似たような描写があり、男は自分が世界を回しているという「うぬぼれ」が、女には子を生み育てること以外、関心がない「視野の狭さ」がある、ようだ。思い当たる節があるけども「ようだ」とお茶を濁し、保守に走る。

 私はともかく(?)、滝沢さんはSDGsに関心を持っており、性差別者ではないと書き加えておきます(SDGsの目標の一つに「ジェンダー平等を実現しよう」がある)。