嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

図解即戦力「SDGs」の考え方と取り組みがこれ1冊でしっかりわかる教科書

発行:2020年

 全然駄目じゃないし限りなくOKだけど、むしろ個人的には大賛成なんだけど、やるのは難しいかなあ…。

 SDGs。持続可能な開発目標。←覚えた。

 簡単に説明すると「世界が一丸となって貧困や地球環境などもろもろに取り組んでいきましょうや」。その心意気や良し。実にご立派で目標の一つに「誰一人取り残さない」なんて一昔前のジャンプの主人公的なことも言ってくれちゃって、天性的コミュ害の自分としては大いに感動。もう一人じゃない。みんな仲間。人類みな兄弟。やったぜ。

「大はしゃぎのところ僭越ながら申し上げます。SDGsはお金がかかりまする」

 安い製品は原材料や人件費などがめちゃくちゃ安い。つまり劣悪な環境でなおかつ低賃金で働かされている人がいるかもしれない。中には子供もいるかもしれない。だからSDGsは言う。

「※フェアトレード製品を買いましょう」

フェアトレードは「公正な取引」の意味。 発展途上国の生産者によって作られた製品を適正価格で取引する。「安く買い叩く→生産者の利益が少ない→労働者の給料も低い」←のような悲しみスパイラルが起きないので生産者も買い手も嬉しい。

 是非ともフェアトレード製品を購入し、SDGsに貢献したい。が、貧困国にぽんに暮らす身としては安い製品しか買えない。

「多くの犠牲の元成り立っている製品とフェアトレード製品。どっちを選ぶんじゃワレ」と竹内力に胸ぐらをつかまれても自分は安い製品を選ぶ。いくら人と環境に優しくても高すぎるのだ。背に腹は代えられん。わしも今この瞬間を生き抜かねばならぬ。

「ごめんねえ」と謝罪の言葉を吐いた口に低価格の肉を突っ込み「うめえwww」と小汚い笑みを浮かべている自分。人の形をした獣か何かか?こんな奴でも「取り残さないっ!」と手を引いてくれるSDGsの兄貴。格好良すぎる。

 捨てる神あれば拾う神あり。

 ページをめくっていけば「ナマケモノでもできるSDGs」なる章を発見。いや、ナマケモノは名前に反して、捕食者に見つかったら即ゲームオーバーだから。体の力を抜いて、なるべく痛みを減らして食われる、変な進化しちゃった動物だから。本家ガンディーも驚きな非暴力主義。

 使ってない電気は切ろう!水は出しっぱなしにしないで!傷がついた野菜など訳あり商品を買おう!詰め替えボトルを買おう!などなど。

 どれもこれも既にやっていた。使わん電気をつけっぱにするお金はないし、詰め替えのない商品を買うお金もないし、訳ありは大好物でコートは20年くらい使っている。SDGs的に大正解のはなまるなのに、どうしてこう切ないのか。

 この本の見どころは後半になるにつれ、誤字脱字が増えるところです。大真面目な内容に紛れ込む誤字脱字の可憐さよ。その人間味が愛おしい。書き手も校閲も疲れていたのだろう。かわいい。あまりにかわいいので指摘はしてやらない(デーモン閣下)。自分はやはり獣なのか。口笛を吹くから教えて、おじいさん。