嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

ヒトはなぜ突然怒りだすのか?(2013)

 仏教の匂いがする!と手に取ったら、案の定禅僧、藤田一照さんと著者の対談を発見し、着々と仏教アンテナ(?)が育ちつつあるなとにやり。著者はシステマ使いで、本編ではシステマ呼吸法がいかに怒りに有効かを書いている。システマの良さは吸って吐くだけなので、いつでも誰でも簡単に出来る。大切なのは鼻から吸って、長く強く息を吐くこと、とのこと。

 が、自分の中でシステマ=ピーマズンズスタンダード、みなみかわ(明らかに痛い目にあっているのに数回呼吸した後「全然痛くないです」と言い張る)のネタの印象が強く、本当に効くのか半信半疑だ。みなみかわの罪は重い。話は逸れるが、ロシア生まれのシステマに限らず、瞑想でも呼吸を見つめる、数えるなど呼吸に注目する。呼吸は私が考えている以上にすごい存在なのかもしれない。

 著者はイライラとするシステマ呼吸を始めるので奥さんから「喧嘩の時は呼吸するな」と注意されているらしい。最大の武器を封じられている著者に笑う。システマ使いの奥さんが怒りに振り回されているのにも笑う。

 著者曰く、怒りはメッセージ。恐怖心、死への恐怖が根っこにある。怒りからくる緊張は自分を大きく見せようとする原始的な名残。怒っている相手と接する時はよく観察し、幼児に接するようになだめること。

 こういうのを読むといかに怒りがダサいかが分かって、なるべく怒らず生きていこうと思える。かといって怒りを悪だと決めつけるのは危険だ。怒りは上手く使うと大きな原動力になる。でも自分の知る限り、怒りを上手く扱っている人間は漫画でしか見たことがないし(友人を殺されて怒り狂って強敵を倒すとか)、やっぱり怒らないのが賢い選択なのかもしれない。

 本書は怒りの予防、抑える方法が主でタイトルの「人は何故突然怒りだすのか?」について書かれていない。最近、本に限らず、こういうタイトル詐欺が多いような気がする。本も売れなくなって久しいので仕方がないのかも知れない。が、本離れを加速させないか心配だ。

ヒトはなぜ突然怒りだすのか?

著者:北川貴英

発行:2013

本体価格:860円+税