嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

ぜんぶたべてね「お弁当作ってきたの」

 主人公は高校生の女の子、かの子ちゃん。ある日彼女は大切な彼氏、一郎くんのためにお弁当を作ってくる。お互い初めての恋人、胸を高ぶらせながら2人は学校の屋上でお昼を食べる。

 一郎くんのために一生懸命お弁当を作ってきたかの子ちゃんとそれを心から喜び、美味しいと食べる一郎くん。その姿はピュアそのもので心に溜まったどす黒いものを浄化してくれる。かつて持っていたであろう「それ」への懐かしさと羨望。そして後悔。無意識に手を合わせたのはごくごく自然な行為だろう。

 小動物の動画と同レベルの癒やしを感じていた私を突如としてどん底へと突き落としたのは、他でもないかの子ちゃんだった。彼女の内面はピュアの正反対、いやあそこまでいくと逆にピュアなのかもしれない。

 ハリウッドの逃走ものでしかお目にかかれない、急すぎるハンドルの切り方。呆然としながらも一縷の望みにかけ、私はテキストを進めるボタンを押し続けた。そんな私をいたぶるように画面の向こうで繰り広げられるのは静かな地獄だった。

 このゲームを遊んで数日が経った。にも関わらず、私は未だに現実を受け入れられず、消化不良に苦しんでいる。とんでもないゲームと出会ってしまった。後悔しても、もう遅い。

お弁当作ってきたの

ジャンル:現代学校屋上お弁当不穏イチャラブ

推奨年齢:?

制作:夕乃

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