嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

日本人は「国際感覚」なんてゴミ箱へ捨てろ!(2017)

 過激なタイトルである。内容も過激かと思いきや、ジャパンファーストを推奨する極々当たり前なことが書かれていて拍子抜けした。首をかしげる主張もあったが、人間なのだから意見が違って当たり前である。むしろ完全に一致の方が怖い。日本を愛するが故か、著者の性格なのか、過激な表現が多々見られるのが短所である(著者に言わせると日本人らしい…か?)。

 著者はアメリカ、カルフォルニア州弁護士、ケント・ギルバート氏。報道番組で見た記憶はあるがあやふやだ。昨日の夕食も思い出せん俺である。それにしても海外から見る日本は面白い。

「いつまでも外国人はお客様」、経済面で「落ちそうで落ちない日本。何度転んでも起きあがってくる日本。」、「国際的」というありもしない単語に振り回されている、スポーツを「何ものにも侵されない神聖な」ものと認識し「レギュレーションを変更してまで勝つのは卑怯」だと思っている(著者曰く「ヨーロッパ発祥のスポーツにその発想はない」)などなど。

 周囲を海で囲まれた日本は大陸に比べ、平和過ぎる歴史を歩んできた。簡単に外へ出られないからこそ、調和を重んじ、まあまあ仲良く暮らしてきた。ゆえに日本人は自分ファーストが大の苦手だ。自分だけが良ければいいと考える人間は日本では排除対象となる。

 しかし他国では自分ファーストが常識だ。ルールを捻じ曲げても相手をねじ伏せてでも自国の国益を優先させる。それを理解し、身につけない限り、日本は損をし続けると著者は語る。日本基準の強欲が世界では丁度いいのだろう。

 とはいうものの、正直、相手をねじ伏せるような相手とは即縁を切りたいし、それが世界の常識なら世界と縁を切りたい。反戦を掲げながら、何故何としてでも自分の意見を通そうとするのか、何故譲り合わないのか、典型的な日本人の私は真面目に不思議なのである。

「ケントさんはいつアメリカに帰るんですか」

「あと何年くらい日本にいるつもりなんですか」

私もまだお客様である。どう見ても20代や30代の日本人からも言われる。「アナタが生まれたときには、もう日本にいましたよ」「アナタよりも長く日本語を使っていますよ」「アナタよりも日本全国に行っていますよ」などと皮肉のひとつでも言いたくなるが、彼らはそれが皮肉だということに気づかないだろう。

引用:日本人は「国際感覚」なんてゴミ箱へ捨てろ!

 著者が1番ショックな「いつまでも外国人はお客様」問題である。移民大国出身らしい感性だなあと思う。話の流れやニュアンスが分からないので予測になるが「ケントさんはいつアメリカに帰るんですか」「あと何年くらい日本にいるつもりなんですか」はお客様扱いではないのではないか?日本人の愛国心は何気に高く※、「何だかんだで母国が1番」精神が根っこにある。だから上記の言葉が出たと私は考える。

外国人は日本社会に完全に溶けこむことはできないと決めつけられ、最初から排除されている。枠の外にいる人たちなので日本社会のマナーを守る必要がない。

「できなくてもしかたないでしょ。外国人なんだから……」

引用:日本人は「国際感覚」なんてゴミ箱へ捨てろ!

 若干被害妄想が強い気がしないでもない。「できなくても」は日本の独自の文化を自覚しているので割と思う。宗教は特にそうだ。仏教と神道をW信仰をしながら無宗教の体、何なら他宗教のクリスマスも祝う。日本人の私でもおかしいと感じているのだから、他国の人間に理解されないと鼻から決めてかかるのを許してほしい。

 何はともあれ、外から見る日本は面白いですね(2回目)。

参照

国際比較調査からみえる対外国人意識~ISSP国際比較調査「国への帰属意識」から~