嗚呼、刀葉林

読んだ本とフリゲについて、書いたり書いてなかったり。

図説ユング 自己実現と救いの心理学

発行:1998年

 読んでいて感心したのはユング先生の理解力の高さ。読む前は呼び捨てだったのに読み終わった後は先生と呼んでしまうほどに。

 ユング先生の父上はモノホンの牧師でユング先生も筋金入りのキリスト教徒。

 これは完全な偏見なのだけども昔のキリスト教徒は宗教を絶対視するあまり自分と他人の首を絞めているイメージがある。

 宗教戦争とか他国に乗り込んで民衆をキリスト教徒に変えちゃうとか。世界一迷惑な魔法少女だよ。中身は中年男性多数。…これも偏見か?

 そういえば小学生の格好の的ザビエルも昔、来日してましたね。全然布教出来てなかったけど。

「ザビエルさあん、神は全知全能なのになーんでキリスト教を知らなかった俺らの先祖は救われないんだよー、なぜだよー、言ってみろよー。やーい、お前んちの父ちゃんザビエルー」と我らがご先祖様。

 ザビエルは「ぐぬぬ」。

 ザビエルの個性的なあの髪型、日本での布教が進まないストレスでかきむしりすぎた結果らしいね?

 ユング先生は信仰心はあっても宗教に固執することなく、適度な距離を保ちつつ、アフリカ、メキシコの土着信仰、果ては仏教まで読み解き、飲み込んでいく。

東洋の宗教は「内向的な心のもつ自己救済の能力」を信じており…(略)

西洋に意識の明晰さがあるかわりに無意識の世界を捨ててしまったし、東洋には智恵と平和とすべてに超然たる心の『ゆるぎなさ』があるが、あるがままの生の悲しみと喜びのすべてを捨てている。

引用:図説ユング 自己実現と救いの心理学

 柔軟な感受性とバグ使用の疑いが湧くほどの高い理解力。

 この文章だけで飯三杯いける。いや、イける。

 個人的にキリスト教徒にとっての仏教は赤ちゃんが東大に行くくらい難解だと思っている。神は絶対!のキリスト教とこの世に絶対なんてないよお…な仏教だもの。水と油だもの。人間だもの。

 ユング先生は晩年臨死体験をした際、寺院が出てくるあたり、ガチ中のガチ(?)。

 ユング先生は絵も嗜まれていて、なかなか味がある。曼荼羅を描いたりもしている。やっぱりガチ中のガチ(?)。

 ユング先生の思想をもっと知りたいが個人的にアドラーの方がすっと入ってくる。自分を救うのは自分っていう仏教的な思想がアドラーにあるからなんじゃないか?仏教寄りだな?自分。